医療法人社団 榎会 榎本クリニック医療法人社団 榎会 榎本クリニック

デイナイトケアセンター

発達障害デイナイトケア

社会的コミュニケーション、行動、認知、時には運動技能など、多くの広汎な発達面における遅れ、もしくは変則的な発達に特徴付けられる一群の障害のことを発達障害と呼び、広汎性発達障害には次の5つの特別な障害が含まれます。(高機能)自閉症、アスペルガー障害、レット障害、小児期崩壊性障害、および特定不能のものもあります。
すべてに共通する点は、いずれも複数の発達領域にわたり広汎な困難が見られることと、いずれの障害も他者との社会的な関係が損なわれていることです。また、高機能とは正常な知能とかなり優れた言語使用能力を持っていることを言います。

1. 発達障害とは

生まれてきた子どもたちは様々なユニークな特徴を持って生まれてきます。発達障害とは生まれつきその子どもが持っているユニークな特徴のあり方です。友達との関係よりも、電車にすごく興味があったり、数字にすごく興味があったり、漢字にすごく興味があったり、世界地図に興味があったりと、これも子どもたちの特徴のひとつです。また、同じ言葉を何回も反復したり、興奮すると手をパタパタしたり、くるくる回転したりと、これも子どもたちの特徴のひとつです。
では、発達障害とはいったい何なのでしょうか。平成17年に施行された「発達障害者支援法」の第二条に発達障害の定義があります。「発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう」とあります。以下に、具体的な例を挙げましたので、みなさんと発達障害とはどんな症状があるのかを見ていきましょう。

同年代の友達が一人もいないA君

アスペルガー障害

A君は、小さい頃から優秀で兄よりもかなり早く1歳の誕生日前には言葉を話し始めました。言葉遣いはいつも流暢で人前では非常に礼儀正しかったのです。3歳前には小学校低学年レベルの漢字の読み書きは出来ました。しかし一方で、ボールや自転車などの一般的に男の子が興味を示すおもちゃには関心がなく、地理や科学が好きでした。このような優秀な子どもを持って両親は鼻高々でした。ただ、ひとつ気になることが同年代の友達が一人もいないことでした。A君は、優秀な少年ですがアスペルガー障害という一面も認められるのです。

2. いくつあてはまりますか?

社会的相互作用における質的障害

対人相互関係を調整する非言語性行動の著明な障害
他人の目を見つめることが困難。他人との距離のとり方がわからない。
顔の表情が乏しい。発話の最中に身振りをほとんどしない。
ボディランゲージが苦手。
発達水準に相応の仲間関係を作ることができない
友達がほとんどいないかまったくいない。もしくは特別な関心に基づいた関係のみ。
当の子どもよりもかなり年上か、逆にかなり年下の子ども、もしくは家族のメンバーとしか関係しない。
集団内での相互作用やゲームの協力的なルールに従うことが困難。
喜びや達成すること、または興味を人と分かち合うことがほとんどない
自分の好きな活動、テレビ番組、おもちゃを一人で楽しみ、他の人間を巻き込もうとはしない。
活動、興味もしくは成し遂げたことに他人の関心を引こうとしない。
誉められることにはほとんど関心がないか反応しない。
社会的または情緒的な相互作用の欠如
他人に反応しない(耳が不自由に見える)。他人に対する自覚がない(他人の存在に気が付かない)。
孤独な活動を強く好む。他人が怪我をしたり、調子が悪くても気が付かない(慰めようとしない)。

コミュニケーションにおける質的な障害

話し言葉の発達の遅れ、または完全な欠如
2歳までに単語を用いたコミュニケーションを一切行わない。
3歳までに簡単な句を用いることが全く出来ない。
発話が見られるようになった後も、文法は未熟で間違いが繰り返される。
会話を維持することが困難
会話の開始、継続、あるいは終了の方法が分からない。
話を前後させ、あれこれ話題を交えて語ることはほとんどない(会話を独り占めし延々と話し続ける)。
他人の発言に応じることが出来ない。特別に関心のある話題以外の話をすることが困難。
不自然もしくは反復的な言語
他人に言われたこと(ビデオ、本、またはコマーシャルの言葉)を繰り返す。
過度に形式的な、小さな教授や学者ぶった口ぶり(発達水準に不相応な遊び)。
おもちゃを使った物まね遊び、物を他のものに例えるごっこ遊びはほとんどしない。
おもちゃを何かに例えるのではなく、具象的に用いることを好む(ブロックを組み立てる)。
子どもが幼い場合、「かもめかもめ」のような社会性のある遊びにほとんど興味がない。

行動、興味及び活動が限定され、反復的

興味が限定的に集中し、その程度や対象が過剰に強く、または不自然
他の話題を排除してしまうほど、特定の話題に強烈に集中。または特定の話題や活動を手放すことが困難。
他の活動に支障が及ぶ(活動に集中するあまり、食事やトイレなどが遅れる)。
特定の関心ごとの詳細について、抜群の記憶力を持つ。年齢に不自然な話題に興味を持つ
(映画の評判・物理学・地理学・スプリンクラーのシステムなど)。
変化がないということに頑なにこだわり、いつも同じ道筋をたどる
正確な手順を踏んで、ある特定の活動を行うことを求める(特定の手順でドアを閉める)。
いつもの日課に些細な変化があっただけで混乱する。
反復的で奇妙な運動
興奮や混乱すると手をパタパタさせる。目の前で指をゆらゆらさせる。奇妙な手の位置や、その他の手の動きがある。
長時間にわたり、くるくる回転したり身体を揺らす。
爪先立ちで歩いたり走ったりする。
対象の一部に夢中になる
おもちゃの車のドアをあけたり閉めたりするなど、不自然なものの使い方をする。
物のにおいをかいだり、しげしげと見つめたりと対象の感覚的な質に興味を持つ。

3. どんなプログラムをするの?

一週間のプログラム

1週間のプログラムの例
午前

学級会

身体測定

絵しりとり

スタッフ
レクチャー

ヨガ
プログラム

医学レクチャー

音楽療法

健康体操

ホームルーム

午後

芸術行動療法

ロングウォーク

絵画療法

芸術行動療法

スポーツ

絵画療法

ボランティア活動

芸術行動療法

ナイト

グループゲーム

頭の体操

クッキング

朗読会

ビデオ鑑賞

頭の体操

カラオケ

計算ドリル

芸術療法

漢字ドリル

リラクゼーション

※午前は10:30〜12:00、午後は13:30〜15:00、ナイトは18:00〜19:00です。

芸術行動療法他のフロアと合同で、部活動のような活動をしています。和太鼓(池袋、飯田橋)、よさこい(池袋、新大塚)、エイサー(御徒町)、ボクシング・空手(池袋、飯田橋、大森)、フラダンス(飯田橋)、フットサル(池袋)等他では体験出来ないプログラムがあるのも特徴です。他にも音楽療法、卓球、ゲートボール、ヨガ、レクリエーション(テーブルゲームやグループゲーム)等、その時の気分に合わせて多彩なプログラムに参加することが出来ます。
和太鼓・よさこい・エイサー・フラダンス等は、内部・外部での発表の場も設けており、明確な目標を持って取り組むことが出来ます。

プログラムの参加にあたって

  • 昼食は12:00から13:30、夕食は17:00から18:00です。
  • 各自コップを持参してください。
  • ヨガや音楽療法、絵画療法などは外部から講師を招いて本格的なプログラムを行っています。
  • すべてグループでプログラムを運営しているため人間関係のトレーニングになります。

4. ご家族の皆様へ

広汎性発達障害のある子どもをおもちのご両親には、発達の様々な段階でこの障害特有の難問が待ち構えています。学校では他の同級生たちとうまくいかなければ仲間はずれにされたり、特徴的な習慣や癖をもっていたらいじめられたりすることもあるかもしれません。このような初期の段階の体験がより一層周囲と関係性を持って生きていくということを難しくすることもあります。また、年齢が増すにつれて社会的にもより多くのことが求められます。この問題に対する理解者が少ないことから、大人になってからもつらい体験をするかもしれません。ですから、ご両親だけはどんなことがあっても発達障害をもった子どもたちの理解者であることを願っています

ただ早期に治療を受けてきた発達障害の子どもたちにはプラス面もあります。治療やトレーニングによってある程度社会的なルールに則って会話ができたり、振舞い方を考えて行動できる子どもたちもいます。困難は完全に取り除かれることはないかもしれませんが、われわれスタッフもこの問題の知識や治療の普及に取り組み、子どもたちと一緒に成長していければきっと彼らの大きな力になると確信しております。電話だけでも結構です。いつでもご家族の相談お待ちしております。

最後に、エデュケーション・ディナイトケアがオープンしてからしばしば思い出すことがあります。それは今から数年前に参加したアスク・ヒューマンケア所長の水澤先生のセミナーのときのことです。水澤先生はその会場に集った障害のある子ども達をもつお母さん達に「おめでとうございます。あなたはこのお子さんを持ったことで多くのことに気づくチャンスを得たのですよ」と声をかけていました。ご両親の皆様、もう一度子ども達が我々に何を気づかそうとしているのか、スタッフとともに考えてみませんか?