GAMBLING DISORDER ギャンブル依存デイナイトケア

ギャンブル依存デイナイトケアは、パチンコ、スロット、競馬、競輪、ネットカジノ、ブックメーカー等、ギャンブルで借金や生活費を使い果たしてしまってもやめられない方を対象にしています。これは、依存の3類型(物質・行為・関係)のうち、行為依存に該当します。ギャンブルがやめられず、浪費や借金を繰り返す人は、だらしない、意思が弱いと思われがちです。しかし依存という視点に立てば、ギャンブルへの依存を意思の力だけでコントロールすることは不可能です。ギャンブル依存デイナイトケアについて、以下で詳しく見ていきましょう。

01 ギャンブル障害とは

「勝てると思ってギャンブルをしているあなたは、ギャンブル依存かもしれません」
ギャンブル障害とは、賭け事に対するコントロールを失い、ギャンブルを繰り返してしまう状態です。ギャンブルには、競馬、競輪、競艇、オートレース、パチンコ・パチスロ、賭け麻雀、バカラなど、様々なものがあります。2014年の厚生労働省研究班の調査によれば、我が国には約536万人のギャンブル障害者がいると推計されています。この値は国際的にみても高い状態にあり、我が国のギャンブル問題は深刻であると言われています。
ギャンブルの中でも、パチンコ・スロットの影響は非常に大きいと言われています。パチンコ店はどこにでもあり、気軽に入ることができます。もし、あなたが勝てると思ってこうしたギャンブルをしているのなら、危険かもしれません。ギャンブルはあくまで遊び、趣味であり、お金儲けの手段にはなりません。負けた分をギャンブルで取り戻そうという考えが浮かんで来たら、遊びの範囲を超えている証拠です。一度専門機関に相談しましょう。

 

行為・プロセス依存

ギャンブル障害は、行為・プロセス依存に分類されます。

 

 

これは、何らかの行為に依存している状態で、ギャンブルはその代表です。ギャンブルをしている間は嫌なことを考えなくてすむかもしれません。勝てば、その瞬間全てを忘れられるかもしれません。何らかのストレスや生き辛さに対する自分なりの対処(自己治療)として、ギャンブルが始まることが多いと言われています。
症状が進んでくると、四六時中ギャンブルのことしか考えられなくなり、勝っても負けても、ストレスがあってもなくてもギャンブルをするようになります。やめようと思ってもコントロールできなくなります。「分かっちゃいるけどやめられない」状態です。明日からの生活費がなくなってもギャンブルがやめられず、泣きながらギャンブルをやっていたという例もあります。この状態になると、自分の意思でギャンブルを止めることは不可能です。
当院では治療という視点で、ギャンブルを止める方法を身に付けていきます。ただ単にギャンブルを止めるだけでは、もともとの生き辛さは解消されません。ギャンブルを止めると同時に自身の生き辛さがどこにあり、今後どういった方法で生き辛さを解消していくのかを、グループ治療を通して考えていきます。ギャンブルを止めるということは、新たな生き方、新たな人間関係を形成していくことです。

02 デイナイトケアでの治療

当院では、精神科デイナイトケアで日中を過ごす中で、生活を立て直し、治療を行っていきます。

1:ギャンブルから離れた生活リズムの獲得
2:プログラム
3:金銭やスマホの管理を考える

治療01

ギャンブルから離れた生活リズムの獲得

ギャンブルにのめり込んでいる間は、対象のギャンブルをやることを中心とした生活になりがちです。人によっては食事や睡眠などのリズムも崩れます。
精神科デイナイトケアは月~土、朝9時~夜19時までクリニックで過ごすことで、まずギャンブルをしていた環境から離れた生活を作ることを第一にしています。入院ではなく家を拠点にしていることで、どんなところにギャンブルのリスクが潜んでいるのか、ステップアップ後を見据えた対策が打てます。
働いていた状態がリスクである場合もあるので、就労について見直す時間にもなります。

治療02

プログラム

その上で、デイナイトケアのプログラムを通して、欲求の対処の仕方を様々な形で学びます。教育的・知識なプログラムはもちろん、楽しんで参加するプログラムも含め、回復に必要なものを学ぶためのものです。
また、同じ悩みを抱える方から学ぶこともあります。知識で学ぶ対処法は往々にして上手く実用できません。実際にどうやって止めているのか、集団の中で学ぶことが重要です。

治療03

金銭やスマホの管理を考える

ギャンブルの最大のリスクは、ギャンブルをする手段(金銭など)を持っていて、その時間があることです。そのリスクを減らすための方策を、一緒に考えサポートしていきます。

 

主なプログラム紹介

芸術行動療法

他のフロアと合同で、部活動のような活動を行っています。その時の気分に合わせて多彩なプログラムに参加することが可能です。内部・外部での発表の場も設けており、明確な目標を持って取り組むことが出来ます。
※クリニックによって実施プログラムは異なります

和太鼓
「いろは太鼓」「華音(かおん)」

よさこい
「夢稔(ゆめみのる)」

エイサー
「あしびぃ」

ボクシング

銀太鼓

詳しく見る

 

 

 

03 回復への道筋

風邪は病気であり、意志や根性でどうにかなるものではないように、依存症も病気であり、意志や根性や約束でなんとかなるものではありません。病気ですから病気に対する治療をする必要があります。どういったプロセスを経て回復に向かっていくのでしょうか。

 

ギャンブルを止める

治療につながった時点で、完全にギャンブルを止めてもらいます。再びギャンブルをした場合、スリップ(再発)と考え、対処法を一緒に考えていきます。

 
 

生活リズムの形成

ギャンブルで壊れた生活リズムを再構築します。居場所を作り、時間を守り、食事をとり、しっかり睡眠をとり、それを毎日繰り返していく。こうした習慣の形成はギャンブルを止めるために役に立ちます。

 
 

金銭について

ギャンブルは金銭感覚を狂わせます。ギャンブルから離れ、正常な金銭感覚を身に付けるために、家族やスタッフと話し合い、実践していきます。

 
 

プログラム

ミーティングを始めとした治療プログラムを通して、自身の気持ちを振り返り、ギャンブルに代わる新たなストレスへの対処法を身に付けていきます。

 
 

社会復帰

ギャンブルを止めるための習慣を身に付けたら、徐々に社会復帰を考えていきます。医師、スタッフ、家族とよく話し合い、スリップしないように無理のない計画を立てていきます。

 
 

治療の継続

社会復帰後も、何らかの形で治療につながっていることが望ましいでしょう。依存症は、完治はない病だといわれています。生き辛さを自分の中だけで抱え込まず、オープンにできる環境を作りましょう。

 
 

自助グループ(セルフヘルプグループ)

自助グループとは医療や行政から離れた、「共通の問題を抱えている人が自主的に集まり、問題を乗り越えるためにある」グループです。ギャンブル依存症の場合は「GA(Gamblers Anonymous)」というものがあります。
デイナイトケアは「中間施設」であるため、デイナイトケアから卒業した後も止め続けるための方策を考える必要があります。
デイナイトケアで学べるのは「対処法」ですが、自助グループでは依存の根幹の原因を探ります。また、10年20年止めつづけている「回復のモデル」が存在し、医療では見出しきれない希望があります。
家族向けの自助グループもあります。ご本人が乗り気ではない場合、先にご家族が参加するのも効果的だといわれています。
集まり(ミーティングと呼びます)に参加してみたい方は、お近くの会場へお問い合わせ下さい。

ギャンブル依存症関連の自助グループ紹介

GA日本インフォメーションセンター(http://www.gajapan.jp/index.html