発達障害とは、生まれつきあるいはこどもの時期にさまざまな要因が作用して、脳の発達が損なわれ言葉や社会性、感情のコントロールなどが未発達、未成熟なために起こる障害と考えられています。近年ではメディアにも取り上げられることで、医療、教育、心理、福祉などの幅広い分野で注目を集め、世間での発達障害に対する認知度も高まりつつあります。

以下で私たちの取り組みについて説明致します。

発達障害とは

相手の気持ちが分からない、場の空気が読めない、場に合わない行動をする、社会のルールが分からないなどの症状により、他者との人間関係を築くことが困難な障害です。

どんな治療を行うか

一番の課題であるコミュニケーション能力を身に付けることを目標にプログラムを行っています。
代表的なものを、以下に挙げます。

1. 集団プログラム

グループゲームや絵しりとり、スポーツ、ミーティングなどの集団で行なうプログラムでは、それぞれのメンバーがどのように他者と関わっているか、どのような発言があったか、注意深く観察しています。場にそぐわない不適切な言動があれば、その場ですぐに注意をし、何がいけなかったのかを具体的に分かりやすく伝えるという方法をとっています。逆に褒めるべき言動があった場合も同様に、その場で褒めています。このような繰り返しの指導をすることで、想像力に障害のあるメンバーでも、人との関わりを学習することができます。

1週間のプログラムの例

午前 グループゲーム 絵しりとり ステップアップ 表現の時間 グループゲーム 運営ミーティング
午後 スポーツ
絵画療法
ヨガ
スポーツ
芸術行動療法 スポーツ
音楽療法
芸術行動療法 スポーツ
ナイト 朗読会 頭の体操 ビデオ鑑賞 クッキング カラオケ ナイトウォーク

※プログラムは治療の段階にあわせて月ごとに変わります。
※デイナイトケアは9:00~19:00までです。昼と夜はお食事を提供しております。

2. 行事への参加

フロアでは芸術文化祭や夏祭りなど季節ごとの行事に合わせて合奏や合唱など大勢の場で発表する機会を作っています。学校や職場など彼らを取り巻く環境の中で周囲の理解を得られず孤立した経験を持っているメンバーにとって、大勢の前で発表し周囲から受け入れられる経験をすることで、自信をつけ自己評価を高められる機会となっています。

3. 連絡ノート

1日の終わりにメンバー全員に連絡ノートを書いてもらっています。この連絡ノートは、1日を通しての感想や、気付いたこと、他メンバーとのやりとりで気になること、スタッフに 言いたいこと、さらに家での出来事などメンバーがそれぞれ自由に書き、それに対してスタッフが返事を書く交換日記のようなものです。デイナイトケア導入直後は事務的な内容を書く人が多いが、来所を続けていくうちに、他メンバーの前や、口では言えないことなど、文章に感情的な表現が増えてきます。連絡ノートは、普段メンバーがどんな事を考え、どのように感じているかを知るための貴重なツールとなっています。

関係機関の皆様へ

同じ発達障害でも知能に遅れがあるなどで幼少期に障害が発見されやすく、周囲からも理解され治療が進められてきた小児自閉症とは異なり、知能の遅れがなく学校での成績にも問題がないため、障害を見過ごされてしまいがちです。そのまま進学し社会に出てから、彼らにとって社会生活を送る上で最も大きな壁である他者とのコミュニケーションでつまずき、大人になってからようやくその障害に気付くというケースが増えてきています。発達障害は、メディアに取り上げられ認知度は高まりつつあるものの、未だ周囲の理解と支援が不十分であるため環境になかなか馴染めない現状です。ご家族や周囲の皆様のより一層深い理解が、彼らへのサポートの第一歩だと考えます。